紙表ってな~に?
紙表は新しい材料ですので、お客様がイ草畳表ほどの使用感を持たれていません。どんな性質の材料なのかをお伝えしたいと思います。
近年その豊富なカラーと半畳敷きの高いデザイン性等から人気となっています紙表。その空間演出効果は大きな魅力だと思います。当店も多数、施工しております。また紙表の特徴の一つに、色あせしない…があります。明るい和室のまま過ごせると言うメリット。材料メーカーさんは、①色あせしない②摩擦に強い③食べこぼしても拭き取れる④カビにくい⑤豊富なカラーを選択できる等をPRしています。いずれもその通りだと思います。③に関しましては表面に樹脂コーティング加工が施されているからなんですね。ただ表面のコーティングですので、経年と共に剥がれて行きます。剥がれますと紙ですから汚れ等が染み込みます。また紙表を敷きますと、特有の紙の匂いをお気になされるお客様もいらっしゃいます。
一方でお客様は施工後そのお部屋で毎日過ごされて行かれるわけです。家族構成に伴う過ごされ方も多様ですし、お掃除もされるでしょう。ですから施工したその日から、材料の劣化も始まるとも言えます。例えば滅多に使わない部屋と、ご家族が毎日過ごされる居間を比較しても材料の劣化は同じではありませんよね。自動車もそうです。丁寧に運転する車とブンブン運転する車と、同じ車種であっても運転者によっては車の劣化には差が出ます。そうなると使い勝手の激しいお部屋の紙表は、どうなって行くのかいくつかの例をご紹介しますので、ご参考になればと思います。
施工完了時(居間)
13年後
こちらの主な原因は掃除機の様でした。お客様には畳には織り目があるので、掃除機を使う時は必ず本体を左手で持ってノズルは織り目に沿って、ゆっくり撫でる様に掛けてくださいねとご説明していますが、お忙しい毎日ですからつい…やむを得ませんね。和紙表を選択されたお客様には、材料に負荷がかかりにくいお掃除方法をお伝えしています。ただい草の様にささくれがズボンや靴下に付くと言った傷み方はしないと思います。
こちらは食べこぼしのシミですね。紙表は表面に樹脂加工が施されていますので、すぐに叩くようにして吸い取っていただければ大事には至らないと思います。でも過ごされて行けば表面樹脂加工がやがては剝がれて行きます。剥がれた所に食べこぼしをすると素材が紙ですからシミてしまいます。色がついた飲み物などでは、その色が残ります。また頻繁に歩かれたり足を置かれたりする所は、靴下の色や汚れ等で黒ずむ事がありますね。
隣にあるこちらのお部屋は、奥様のリラクゼーションマッサージ&ストレッチルームとしてお使いになられているそうです。微かに擦れや黒ずみはありますが気にならない程度。とても良い感じのリラックスルームです。同じ材料でもお部屋の使い勝手次第で、違いは出て来るんですね。紙表も適材適所…の一例なのだと思います。
施工完了時(寝室)
11年後
こちらはご高齢のお父様がお使いになられている寝室です。お布団を敷かれている所と過ごされておられる所の比較が分かり易いかと思います。色が変わらないと言う材料の特徴が、汚れを際立たせてしまう事にもなり得るんですね。例えばい草の畳表ならば、経年とともに飴色に変わりますので、ここまでの汚れの際立ちは無いのでは…とは思います。また紙表は、カビのリスクはとても低いと思います。
最後になりますが、こちらでご紹介させていただいたのは、お客様に後々ガッカリしてほしくない為に紙表の特性を分かり易い例でご紹介しました。カラーにばかり気を取られてしまわない様にと。材料メーカーさんは当然に特徴を全面にPRをされます。その材料の目利きをしてお客様にご提案するのが畳屋ですから、畳屋はお客様を向いていなければメーカーさんと同じ立ち位置になってしまいます。紙表という材料そのものはしっかりしていますから材料の性能は一定なのですが、お部屋の使い勝手は千差万別でございます。ですからお客様の生活様式等に沿う材料であれば、快適な畳の暮らしが叶う材料だと思っています。適材適所...他のくさんの材料も含めまして、当店が最も重要視している所でございす。畳の事ならお気軽に、何でもご質問ください。。